11.期末に購入した会社案内用のパンフレットの印刷費用を広告費として損金経理していたが全額否認された
〈内 容〉
当社はこのたび外部の印刷業者に会社案内用のパンフレットを制作させ、決算期までに納品が完了し、また、申告作業中にその印刷業者から請求書が送付されてきた。
〈否認理由〉
たしかに印刷業者からパンフレットを受領しているが、本来、パンフレットのようなもので未使用のものは貯蔵品(資産)に該当し、商品などと同様に棚卸しをすべきである。よって、期末において納品されたパンフレットは事業年度において、損金経理することができないとされた。
〈ひとこと〉
パンフレットを全部配っていたら問題はないのですが、会社で持っていたら問題になります。ですから期末直前で買った場合は、在庫の状態を明確に把握していなければなりません。
12.外注費として支払った1,000万円が全額否認された
〈内 容〉
当社は、外注先の法人と請負契約を締結し、契約書を取り交わした。内容は、明確になっており、金額・支払期日・請負内容は記載されている。また、契約通り支払期日に適正な金額を支払った。ただし、納品されたものに一部不備があったため、現在、外注業者に調整中である。
〈否認理由〉
たしかに請負に対する内容・金額・支払期日・納品という条件は揃っているが、この場合、納品されたものが不備であり、決算期末において使用できないのであれば、対価の完了とはいえず、前払金であるとされた。
13.交際費(資本金の金額により既に損金算入)として計上していた金額が役員賞与とされた
〈内 容〉
当社は取引先に対し、営業の担当者(当社の場合は1人で役員が行っていた)が接待を行い、飲食店等からの領収証を交際費として記帳していた。その支出に対し、取引先の都合上、名前を明かすことができないため、その記録を残していなかった。
〈否認理由〉
調査によりその領収書を確認したところ、名前のところが「上様」や無記名になっており、日付も未記入のものがあった。また、会社の担当者に接待先の相手を確認しても明確な回答がなかった。以上のことを考慮し、この支出は接待担当者に対する渡切交際費であると解し、役員賞与であるとした。また、この件に対しては、法人に対して源泉徴収義務違反として渡切交際費部分の源泉徴収を行った。
14.マネキンに支払った報酬を消費税の課税仕入としていたが不課税とされ、さらに源泉徴収の対象とされた
〈内 容〉
当社はマネキンを使って事業を展開しているが、マネキンが紹介所に対し、マネキンに対する対価と紹介手数料を課税仕入として派遣同様に考え処理していた。
〈否認理由〉
この場合マネキン紹介所を経由してマネキンに対して支払う対価は、職務内容・対価の計算方法等から雇用関係に基づく給与等(給与所得)に該当するとされるため、消費税法上不課税仕入であり、源泉徴収の対象となる。ただし、紹介手数料な処理は適正である。

15.特定の従業員に対する飲食費の取扱い
〈内 容〉
当社では、課長以上の者を対象として定期的に中華料理屋や寿司屋などで慰労会を開いており、慰労会にかかる費用を福利厚生費として処理している。
〈否認理由〉
一定上の役職者(課長以上)を対象に慰労会を開いているので、慰労会にかかる費用は福利厚生費ではなく、交際費として処理しなければならない。

16.関連会社への固定資産の売却
〈内 容〉
当社は、グループ内の資産活用の見地から固定資産を関連会社に売却し固定資産売却損を計上しました。
〈否認理由〉
関連会社への固定資産の売却は期末間際の取引であり、課税回避を目的とした利益操作と認められるため固定資産売却損は損金算入できない。
〈ひとこと〉
固定資産の売買が第三者間で行われるのであれば、当該取引には恣意性の介入する余地がなく問題になることはありません。しかし、関連会社間においては、資本関係や人的関係があるため通謀される可能性があります。では何も取引はできないかということにはならず、第三者間と同様に行われる取引であるならば、何ら問題になることはありません。

17.使用人兼務役員の使用人分適性額
〈内 容〉
当社には、使用人兼務役員がいますが、それぞれ職務を異にしており、経験年数・入社時期・学歴等が違っているので、報酬・賞与にかなりの差があります。また、使用人兼務役員はすべて部長となっていますが、使用人の最高位にある者は総務課長です。
報酬・賞与ともに使用人兼務役員は、総務課長の給料・賞与を大きく上まっています。
〈否認理由〉
使用人兼務役員の使用人分適正額について、取扱通達では比準者がいるときは、同格である比準者の給料や賞与と比較し、比準者がいないときは、使用人の最高位と比較することにしている。
したがって、総務課長の給料・賞与を超える部分は、役員分と考えるべきである。

18.大学生である長男に支給した役員報酬
〈内 容〉
当社の社長の長男は大学4年生ですが、当社の役員に就任しており経理事務に従事(すでに卒業に必要な履修単位はほぼ取得しており、従って週5日は勤務に従事)していることから、月額50万円の報酬を支給しています。
〈否認理由〉
長男の勤務は非常勤取締役であると考えられ、報酬の適正額も月額5万円程度と認められる。
従って、これを超える部分は過大役員報酬として修正申告書を提出してほしい。
〈ひとこと〉
これは交渉の余地があると思います。
勤務や職務の状況、収益や使用人に対する給料の支給状況、同種規模類似法人における役員報酬の支給状況などを総合勘案する必要がありますから、貴社の事情を調査官によく説明して、適正額を見直してもらったらいかがでしょうか。

19.子会社に土地を譲渡する場合の時価
〈内 容〉
当社は、30年前に取得した土地を子会社Aのビル建設用地として譲渡しましたが、近隣の売買実例がないため、当社の取得価格で譲渡しました。
〈否認理由〉
売買価格の算定方法が合理的でない。合理的な算定方法により算定しなおしたうえで修正申告をしてほしい。なお、算定方法については法人に委ねる。
〈ひとこと〉
近隣の売買取引事例から評価額を算出しますが、実際に取引事例がなければ適用することができません。実際に売買事例があったとしてもその譲渡価格を第三者が知ることは困難ですので、地価公示価格又は不動産鑑定士の鑑定評価額を基礎に算出することが多くなっています。
ただし、不動産鑑定士の鑑定評価額を使用したとしても、その算定方法に合理性を欠いている場合には否認される場合もありますので注意が必要です。

20.焦付き売却金の貸付金への振替
〈内 容〉
当社は、焦付き状態にある売却金を貸付金に振替ました。この際に相手方と結んだ準金銭消費賃借契約書では、利子を支払う旨の定めがありますが、当社では未収利息を計上していませんでした。
〈否認理由〉
売掛金については利子を受け取らないのは当然であるが、貸付金に振り替え、利子の定めがある準金銭消費賃借契約書を取り交わしている以上、未収利子は計上すべきである。
〈ひとこと〉
売掛金が長期にわたって焦付き状態にある場合に、その債権を貸付金に振り替えることは少なくないようです。この場合、その貸付金について利子を支払う旨の約定がなされるでしょうから、貸付期間に対応する未収利子の計上をしなければならないと考えるのは当然でしょう。しかし、売掛金のままであれば利子の計上は必要ないのに、金利の定めがある貸付金を計上したために未収利子を計上しなければならないのは、納得がいかないのは当然かもしれません。
法人税では、次のような場合に、未収利子の計上を省略できる特例を設けています。
「債務者につき、債務超過の状態が相当期間継続し、事業好転の見通しがないこと、当該債務者が天才事故、経済事情の急変等により、多大な損失を蒙ったこと、その他これらに類する事由が生じたため、当該貸付金の額の全部又は相当部分についてその回収が危ぶまれるに至ったこと」
この未収利子計上省略の特例は、元本そのものも不良債権化し、具体的事情によっては貸倒処理又は貸倒引当金の設定も考慮しなければならなくなっているのに、未収利子だけは期間の経過によって計上しなければならないのは著しく実態に反するため、利子の未収計上の見合せを認めようという趣旨から設けられたものです。
貴社の場合も、焦付いた売掛金について、回収確保の手段として準金銭消費賃借契約書に切り換えたものでしょうし、利子の定めも弁済の履行を間接的に促すためのものであろうと考えられます。
このように検討しますと、焦付き売掛金に振替えた場合の利子については、未収利子として計上することを見合わせ、現実に支払いを受けた日の属する事業年度で受取利息として計上する処置が認められると考えられます。
