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 「備えあれば憂いなし」という言葉は、税務調査にも当てはまります。伝票帳簿類や契約書等の整理や確認から、当日を想定してのリハーサルまで、社長・経理担当者・会計事務所が三者一体、強力タッグで事前準備に取り組めば、怖いものナシ。税務調査という「関所」を難なく通過することができます。
それにはまず、陣頭指揮をとってもらう税理士または公認会計士選びが重要なポイントとなります。
税理士・公認会計士といってもいろいろなタイプがおます。税理士においては、実務経験が豊富で企業税務に長けた人を選ぶのはもちろんです。
また、公認会計士においては、監査中に仕事をしていると、税務調査になかなか対応しきれないという場合があります。
ですから依頼する税理士・公認会計士のタイプをよく見極めて、自分の会社にいちばん合った人を選ぶことが大切です。


1.税務署から連絡があったら

 税務署から「来週、調査に行きたい」と電話があったら、まず会計事務所に連絡をして、リハーサルの日がとれる日程調整をしてください。会計事務所との日程調整がつかなければ、調査を少し延ばしてもらうことも可能です。
 通常の調査であれば、こちらの都合で日程調整することは何の問題もありません。むしろそれは必ずそうしてほしいことで、その間に会計事務所と綿密なリハーサルを行ってもらいたいのです。このリハーサルには、社長・経理担当者・会計事務所が三者が必ず立ち会ってください。


2.事前準備

さて、リハーサルを行う前に、ぜひともやっておかなければならないのが次の3つです。

1. 伝票帳簿の整理
2. 証憑契約書類の確認
3. 給与台帳および1人別徴収簿の確認

  申告が終わると、伝票帳簿類はダンボール箱にたいていまとめてしまっています。ところが、これが思わぬ不運を生んでしまいます。調査官が段ボール箱を開けた時、帳簿類に付箋がついていたり、鉛筆で○がついていたり、「会計事務所にここをどうしたらいいか聞くこと」なんてメモが挟まっていたらもうおしまい。こんなことのないように、しまう前に必ず伝票帳簿類には目を通しておいてください。
 次に証憑契約書類についてですが、もし、調査官とやり合うようなことになった場合、契約書というのはたいへん重要になります。契約書がないと調査官は絶対に疑いがかかりますから。
逆に、一見疑いがもたれそうな取引であって契約書があり、契約に至るまでの稟議書があり、さらに役員会議の決議書まで揃っていれば鬼に金棒。調査官は文句をいえません。
 特に同族会社や関連会社等は、この3点がビシッと揃っているかどうか、あらかじめしっかり確認しておいてください。
さらに、給与台帳や1人別徴収簿も調査の重要なポイントになります。最近では、これを使っての裏金工作が横行していますから、調査官は特に目を光らせています。
 たとえば架空のパートに毎月給料が支払われているように見せかけているケース。社内の座席表はあるか、定期代は支払われているか、扶養控除申告書等の提出はあるかどうかなどがチェックされます。場合によっては、パートさんの家を訪ねていって、「実際に勤めていますか?」なんて質問も。たいていはビックリして、「いいえ、名前だけ貸しています」と白状してしまいますから、あっさりばれてしまいます。
 このように、疑いがあれば、調査はたいへん厳しいものになります。リハーサル前には、社長や経理担当者の机のまわりの金庫のなかはもちろんのこと、トラブルになる可能性のあるものは細心の注意を払って、1つ残らず確認・整理しておくように心がけてください。
  重要書類や、社長や経理担当者の机まわり、金庫の中の整理がすんだら、いよいよ会計事務所とのリハーサルです。
まず最初に、会社の問題点を相談してみるといいでしょう。会計事務所には守秘義務があり、そこから秘密が漏れるということは絶対にありませんから、安心して相談し、的確な対応をアドバイスしてもらいましょう。逆に何でも相談できないような会計事務所は、会計事務所とはいえません。
 税務調査で準備する書類については次表にまとめてありますので、これらを揃え、調査当日を想定しながら会計事務所とリハーサルを勧めてください。

[ 準備書類等]

3期分の帳簿 人件費関係
@総勘定元帳
A入出金伝票・振替伝票
B小切手・手形の耳
C売掛帳・買掛帳
D現金出納帳

@給与台帳・扶養控除申告書
A社会保険関係の書類
Bタイムカードの記録
C役員報酬の改訂があった場合の議事録
特に家族役員の報酬が適切か検討した書類

経費の資料

仕入・外注・在庫の資料

@請求書
A領収書
@見積書
A請求書
B納品書
C実地在庫表
売上資料 その他準備すべきもの
@見積書
A工事契約書
B納品書
C請求書
D領収書の耳
@個人通帳(社長)
A金庫・引出し整理
B当日の現金残高と当日までの現金出納帳
C法人の通帳・現金出納帳
契約書等
@契約書
A稟議書
B議事録
C役員社宅は賃貸契約書 家賃契約書
D同族関係取引の契約書



 

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