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 税務調査に対応する方法といっても、その場から臨んで目新しいテクニックや手段があるわけではありません。平素から準備や心掛けによって、正しい会計処理がなされていることが前提となります。
 しかし、調査は、基本的に“取る側”と“取られる側”といった相反する立場の間で行われますから、こちらがいくら正しいと思ってやっていても、どうしても意見の食い違いや解釈の相違が生じます。これらのトラブルをできるだけ少なくし、早く調査を済ませるようにするのが、上手な調査の受け方といえます。
 一般的に企業において、実地調査の際、通常どんなところに目をつけられるのか、その項目を大きく分類すると、次のようになります。

@ 経営の概況
A 期末に整理・たな卸する資産、負債項目
B 期間損益決定の各種損益項目

  これらの項目のうち税務署内部での準備調査によって、調査の重点、対象をしぼってやってくるとおもいます。しかし、各項目はそれぞれ相互に関連をもっているので、いずれか1つの項目で不審な箇所が発見されれば、必ず他の項目についても調査されるものと覚悟しておかなければならないでしょう。


1.平素からの準備

 税務調査の基本は「証拠書類」の十分な把握を前提とし、その結果として誤りがあれば更正決定をすることになります。
 さて、ここで特にご理解いただきたいのは、「証拠書類」として用意したつもりのものであっても、税務上は「証拠書類」として認められないケースがあります。調査を受ける側の作成あるいは提出するものが正しいかどうかを調査するのが税務調査です。これが「証拠書類」となるためには、反面調査などにより相手方との一致をみることによって、初めて真実の「証拠書類」となるわけです。このことを十分に心得て「証拠書類」の整理・保管をしていく必要があります。
 具体的な準備の細目に入る前に、企業として日頃から準備しておきたい基本的な資料について述べておきましょう。

(1)証拠書類の準備を
 実地調査は、企業が申告した課税所得が適性かどうかを確認するものです。原則的には、企業利益の調査ということになります。
 したがって、企業としては申告した会計年度の損益の発生過程と理由を明確に把握しておき、実地調査の際に疑義が出れば、具体的な「証拠資料」を示すことによってその疑いを晴らす必要があります。
 税務調査では、証拠ということが強調されます。たとえ口頭で説明でき、帳簿に示されていても、目に見える証拠がなくては説得力に欠けます。そのため、メモ書きや打合わせ資料など、いらざる疑いを招きそうなものは処分しなければならないのは勿論ですが、取引の事実を明確に説得できる契約書や見積書、請求書、領収書などについても、特に平素から几帳面に整理・管理しておく必要があります。

(2)社内処理規程の作成を
 できれば、社内処理規程を作っておきます。
 たとえば、交際費を支出したり、従業員にカネを貸し出したような場合に、その額や金利などについて行き当たりばったりに処理していたのでは、調査を受ける際にその点を突かれても、相手を十分納得させることはできません。
 また、自社内でのトラブルの原因ともなりかねません。交際費の範囲とその支出の基準、社内貸付金の金利の規程、外注仕掛品の評価基準など、できるだけ具体的な内容の規程を作っておきます。
 これらの規程や基準にしたがって処理すれば、それが特に不合理なものでないかぎり、企業側に有利に認められると思います。


2.専門家の活用

 日頃会計数値を「証拠書類」に基づいて作成するルール(社内処理規程)を設定していれば、税務調査を受ける際に心配もなくなるでしょう。
 しかし、そのルールを設定するにしても、何をどうすればよいのか明確には見えてこないでしょう。また、どうせ作成するのならば、他社事例を参考にしてよりよいものを作成したいというものが人情であると思います。
 こんなとき、ルールの設定は税理士・公認会計士に手伝ってもらいましょう。税理士・公認会計士は人によって数十社から数百社の顧問先に関与してきているはずです。守秘義務があるので、他社の社内処理規程をそのまま提示してくれることはありませんが、数多くの経験から有効なアドバイスを受けられるはずです。
 「自分の会社の規模で、社内処理規程なんて面倒で」と思う前に、餅は餅屋、税理士・公認会計士を有効活用しましょう。
 社内処理規程を作成しても従業員がそれに従って日常の処理を行ってくれなければ、作成した意味がありません。処理が適正に行われているかチェックをすることも必要です。しかし、実態はどうでしょうか。従業員はそれぞれの仕事を抱え、さらに処理をルールにのっとって行う、ということはなかなか大変なことかもしれません。「分かっているからいいや」「忙しいから今回は」ということの積み重ねになるかもしれません。しかし、この意義を従業員に理解させることが必要です。これがコーポレートガバナンス(企業統治)の第一歩です。

  日常の業務が社内処理規程に従って行われているか外部の第三者にチェックしてもらうのも、従業員に日常の業務を緊張感もって行わせるのにはいかがでしょう。この際にも税理士・公認会計士に依頼しましょう。税理士は過去の税務調査への立会い、公認会計士は会計監査を通じてノウハウを持っています。月次巡回監査の際に監査を依頼すればよいのです。全部でなくても大きな取引や特殊な取引について監査してもらえば従業員への牽制になり、経営者としても安心です。問題点を指摘してもらえば今後の経営改善にも役立ちます。

 


 

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